ニュース

東日本大震災による家屋被害の程度と死亡リスクの関連  ―地域住民コホート調査における宮城・岩手の 6万人規模の統合データ解析―

2025/01/16 ニュース

大規模自然災害による家屋の被害は、長期的なストレス反応によって致死的な結果を引き起こす可能性があります。東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)の中谷 直樹教授、岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)の丹野 高三部門長らによる研究グループは、東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査において、宮城県と岩手県で収集したデータを用いて、東日本大震災による家屋被害の程度と死亡リスクの関連を平均追跡期間6.5年間のコホート研究により検討しました。

その結果、被害なし群(基準)に比し、被災地に住んでいない者の死亡リスク(95%信頼区間)は0.96(0.82-1.13)、小・中規模被害群(一部損壊、半壊)で0.98(0.87-1.10)、大規模被害群(全壊[全流失]、大規模半壊)で0.98(0.85-1.14)で、家屋被害の程度と死亡リスクの間で統計学的に有意な関連は示されませんでした。本研究の範囲では確定的なことは言えませんが、震災後のさまざまな公衆衛生の取り組みが一定の成果を上げた可能性があります。

この論文は国際学術誌Journal of Epidemiology and Community Health誌に2025 年1月15日にオンライン掲載されました。

詳細はこちらのPDFでご覧いただけます。