解析研究が目指すもの

被災地域で発症増加が報告されている循環器疾患(心筋梗塞、脳血管疾患)や精神疾患(うつ、PTSD)において次世代型個別化医療を実現するには、予防のための医療介入の根拠となるに十分な確度で、疾患の隠れた進行を「顕在化」させることが必要不可欠と考えられます。

いわて東北メディカル・メガバンク機構では、疾患発症の過程で段階的に変化する生体分子情報、すなわちDNAメチル化変異と遺伝子発現変化に着目し、確度の高い疾患進行顕在化マーカー(疾患前診断マーカー)の同定を目標としています。疾患前診断マーカーは、疾患型バイオバンク検体の解析では原理的に検出不可能であり、前向きに疾患発症を追跡する住民型バイオバンク検体を用いて検出可能となります。大規模な住民型バイオバンクを構築し、かつ震災ストレスコホートという立場でエピジェティクス制御異常・遺伝子発現異常に着目し、最先端のオミックス技術を用いた解析により、次世代型個別化医療に繋がる技術シーズを世界に先駆けて生み出せる可能性が高いと考えています。

   

マイクロアレイスキャナー
「iScan(アイスキャン)」

次世代シーケンサー
「Hiseq(ハイセック)」

 

これらの解析研究により、価値の高い技術シーズを確立し、被災地域の経済復興に貢献すると共に、技術シーズを臨床や診断等に還元し、被災地域住民の長期的な健康づくりに貢献することを目指しています。これらの成果により、我が国の医療技術の発展にも貢献します。